私向けリクエストアワー

思い出とか感想とか twitter:@genjipie0923

「チェッカーズのサイドボーカル」はたぶんミスリード

怒られるの承知で書きますが、つい3年ぐらい前までチェッカーズって藤井フミヤと愉快な仲間たちで構成されてるアイドルだよね~~ って本気で思ってました(超失礼)! だからチェッカーズがバンドだって知った時めちゃくちゃ驚いたし、自分たちで作詞作曲してたってのも衝撃でした。

でも何より驚いたのは、チェッカーズにはボーカルが3人いたってことでした。

だってさ、藤井郁弥がボーカルだったらもうそれだけで100点満点中1万点(つまりは最強)のバンドになるの確定みたいなとこあるじゃないですか。もう彼以上のボーカリストなんていないって言ってもあながち間違いではないし、彼さえいればバンドとして事足りてそうなのに、さらにボーカルいたの…?しかも2人も....?何そのお祝い懐石料理的なやつ。豪華すぎるでしょ…

あとサイドボーカルと形容されることが多いお二人ですが、私はボーカルが複数人いるバンドを聞いてこなかったのでサイドボーカルという言葉に全く馴染みがなく、バンド内での立ち位置が不思議な人達だなあと思っておりました。

 

で、実際彼らの音楽を聞いてみて思ったのは、チェッカーズにおける「サイドボーカル」というワードはあくまでもステージでの立ち位置に起因するものであるということです。 サイドボーカルって言葉だけ聞くとなんとなくおまけ感があるかな~って思っちゃうけど、あくまでも立ち位置的にリードボーカルのサイドにいるってだけで、きちんとベースボーカルであったりハモリコーラスであったり時にはリードボーカルを務めたりとそれぞれ重要な役目があったんだと思う。決して''あーなんかいたよね''っていう感じの人達ではない。Finalライブのメンバー紹介でフミヤさんはお二人のことを「ボーカル」って仰ってたので少なくとも郁弥さんはおまけ的なサイドだとは全く思ってなかったんじゃないかな。

結局何が言いたいかっていうと、サイドボーカルってあくまでも立ち位置的な意味だから役割までもサイド(=おまけ的)って解釈しちゃうとモクさんとマサハルさんの魅力を取りこぼしちゃうから気をつけてね!ってことです(最初からそれ書け)。

いやーサイドボーカルというワードのミスリードは罪深い。 そしてインタビューとか読む限り、郁弥さんが1番そこをわかっていらっしゃるというか、、彼の中であの二人は決してサイドなんかじゃなくて、チェッカーズの大事なメンバーであり立派なボーカルだって認識が確かにあったんだと思えてなりません。 モクさんマサハルさんがリードボーカルをとった曲について、この曲はマサハルが歌った方が映えるとかこの曲の世界観は本当に高杢らしいよねって仰っているのがとても印象的でした。 

Gold Rushについてー自分が歌う時と他の人が歌うときはやっぱりー「違うよね。やっぱ高杢高杢の男っぽいみんなついてこい的なイメージがあるし。」THE CHECKERS PATi▷PATi FILE 1990-1992 84p

 

誤解さcherryについてー「俺が仮歌を歌ったんだけど俺が歌うと嘘って分かんの、最初から。政治はほら、あんまり感情が出ない歌い方だから、淡々と聞こえてプリティーになったな。」THE CHECKERS PATi▷PATi FILE 1990-1992 202p

 

これいい曲だから自分が歌うね~!ってスタンスでもおかしくないし、藤井郁弥ほどの実力がある人だったらそれが許されると思うんですけど、郁弥さんは全くそうではなく、あくまでもバンドとして、「誰が歌ったら1番格好良いチェッカーズを提示できるか」をずっと考えてくれてたんだと思います。さらに各々の良さを把握してそれに応じた歌詞を書いてきたわけで、なんというかチェッカーズにおける藤井郁弥は単にバンドの顔ってだけじゃなく強みを把握した上で細い舵取りをできてた人だったんだろうなあって感じます。

話が脱線してしまいましたが、モクさんとマサハルさんも、おー面白い…!ってなる要素があるお方なので個人的に好きな点書きます。客観性の欠片もない独り言なので軽く流してください。

 

☆モクさん

一直線のダンディズム

歌声はかなり低いのに、おしゃべり声はそこまで低くなくて聞き取りやすいのが意外な方でした。見た目はほとんど変わらないとにかく硬派な人。

正直どこまで本心で言ってたのかなあって思うところが無いわけじゃないのでインタビューから人柄を考察するのはナンセンスかなーとも感じますが一応…笑

「俺は変わらないよね 。変わっちゃいけないんだよ、仕事の立場としてね。キープしていかなきゃいけないし、それが攻めていかなくちゃいけないことでもあるから。違うのはやれることとコレはやっちゃいけないことと分別がついてきたってこと。でもあとは変わっちゃいけない、じゃなかったら魅力が無くなっちゃうわけだし。」THE CHECKERS PATi▷PATi FILE 1990-1992 302p

 

blue moon stoneの時のお言葉。この方は変わらないことに重きを置いていてそして型から入るタイプなんだと思います。良くも悪くも形式的でどっしり構えてる人。 なんかダンディズムを感じますよね。

チェッカーズって少なからずアイドル的に捉えられた部分があって、それを突っ撥ねるでもなくむしろ楽しんでたのがすごいとこなんだけど、そんな中で圧倒的ダンディズムを誇るモクさんって異質だったと思う。''かわいい''だけのアイドルに迎合することがなかったのは全員そうなんだけど良くも悪くもここまで変わらなかったのは彼自身だけだし、そこが強い個性だと思います。チェッカーズ自体は割と主体的に格好良く変わっていけるバンドだったから余計こういう存在って飛び道具とかフックとして貴重だったと思います。いいキャラしてんなー好き。

全然関係ないけど、今ってアイドルなんて飽和状態で、みんな必死になってキャラ付けで差別化図ろうとしてて本当に大変だと思うんだけど、モクさん的なダンディズムポジションって多分どこにもいないから模倣したら相当目立てるとは思う、人気になるかどうかは別として笑

低音ボイス

この人の音楽的な良さはアカペラでよく出る、、というかチェッカーズのアカペラはこの人抜きに成立しなかったのではってぐらい、いい仕事してます。juke box センチメンタルとか。ボイスパーカッション的なことやってるので相当リズム感あったんだと思います。藤井郁弥のリズム感まじやばみなので隠れちゃうのも仕方ないけど笑アカペラアルバム出して欲しかったなぁ。

 

余談ですが、柳川高校卒業~~!実家の超近所~~ってことで無駄に親近感持ってます笑 あの辺の昔からある本屋さんなんて2、3件だし私も同じ本屋さんで教科書買ったりしたかなとか近くの回転饅頭食べたりしよったんかなとか考えちゃう…笑

 

☆マサハルさん

この方は7人で並んでとる写真で1人だけどこ向いてんだろうって目線をしてることが多くて笑、とても印象的でした。染まっているようで染まっていない人。 チェッカーズって大いに不良的であったのにこの人はあんま不良じゃないのもまた面白い。すごく淡白な感じが好きです。 後、タレント的な意味で単純に面白い人だと思う。マサハルさんはインタビューでも少なからず笑いを取りにいってるんだろうなあって言動がある人ですよね。

Q将来どこに住みたいですか?

A家。               Only  The checkers 176p

QandA史上最も脱力系の受け答えだと思いました。変わった人だなあ。 楽しませようとして楽しませる、意図的になんでも仕掛けたい人というか、平たくいえば''みんなの''期待に答えたいがんばり屋さんなんだろうな。90年代中盤あたりから音楽番組のトークの比率が高くなっていきますが、そこまでチェッカーズが続いていたらまた違った活躍が見れたのかもしれないですね。

インタビュー読むかぎりではこの人って意外と?自分を強く持ってる人だったんだなあって印象。

 どんなふうに成長していきたい?
最終的には幸せな過程を基盤にして自分のやりたいことをしてるお父さん THE CHECKERS PATi▷PATi FILE 1984-1986,280p

バンドの一員としてどうなりたいかより1人の人間として人生をどう設計したいかってことがすんなり出てくるあたりわりとバンドという組織から独立して自分を持ってたんだと思う。まあ若さゆえにってのもあったかもしれないけど。

後半の方ではソロ活動もユニットもやっていらっしゃってかなり目立ってた。決して影のサイドボーカルではない、むしろこんなに出ちゃうの?って思っちゃうぐらいの露出だったけど笑、創作意欲が強いひとの関心の矢印がずっと外向きにあったのはすごくいいことだと思うし、折角の才能だから音楽に携わり続けてほしい。(謎の上目線)

 

とにかくメロディーメーカー

チェッカーズは素晴らしい作曲家が4人もいた稀有なバンドだけど、他3人がその時代とそのアルバムにマッチした音を作れる変幻自在なタイプだったのと対象的に鶴久さんは割とスタンダードな曲を作り続けていた方だと思う。だからシングル向きだったのかも。染まらず、流されず自分を持ってる人だからできたことなのでは。

残念ながら私は曲の構成やコード進行に対して知識がないので書けませんが、スージー鈴木さんの以下の解説は面白かった。

https://reminder.top/297099969/

 

注目してしまったのは引用されているインタビューの中で「新しい方面はフミヤ氏やトオルくんに任せて」って仰っているところ。チェッカーズのアレンジであったり新しい音楽の取り入れとか方向性に関しての舵取りは明らかにこのふたりが中心だったことがよく現れていて、自分は自分でスタンダードをやるだけって感じがまさにマサハルさんらしいなあと。

あとこの人は郁弥さんをずっとやっしゃんとかフミヤ氏とか藤井兄とか呼んでいらっしゃって、絶対フミヤ~~って呼ばない感じが、本当にマサハルだよなって思います。(伝わらない日本語ですみません。)同じバンドのメンバーなんだけど先輩後輩感が拭えてないというか、そういうとこ本当にこの人らしいよね。良い。

シンガーとして

ソロ聞いてないからチェッカーズ関連ばっかになってしまうの申し訳ないですが中々面白いなーと思ったのは彼のソロライブで歌われたCherie。 真っ直ぐな歌い方ですよね。平坦でもある。藤井フミヤがかなり柔和でなめらかに歌えるタイプなのと対照的ですがとてもうまいと思います。〈もう言わないよ〉の刹那的な歌い方なんてアコギ1本のアレンジだから本当に生きてる。

このCherieに関して言えることは、やっぱり藤井郁弥の世界だなあっていう笑。歌詞が藤井郁弥によるものだから仕方ないのだけど〈この恋が決められた運命ならせめて時を越えて通り過ぎたい〉とかがまさはるさんからナチュラルに出るとは私は思えなくて、そこの違和感にのってるマサハルの真っ直ぐすぎるボーカルが味わい深くて結構好きです。

ただ、やっぱり藤井郁弥だなーって思ってしまうし、自然と比較しちゃうので…マサハルが歌ってるレア感は魅力的だけどチェッカーズありきになっちゃうというか。だからシンガーとしての鶴久政治を本当に味わいたいならマサリナとかソロとかチェッカーズを離れた音楽を聞かなきゃいけないのかもしれないなあって思いました。


鶴久政治 1990 Timely Tour 5/5 『Cherie』

 

 

個人的にはFinalの愛と夢のFASCIST→It's alright→See you yesterdayって流れがチェッカーズのボーカル3人の個性と実力と魅力を最も味わえる傑作かつ集大成だと思ってます。みんな全然違うタイプボーカルなのにひとつのバンドだったってすごいこと。あとSee you yesterdayの藤井郁弥のラスボス感は最高どころじゃなく覇者レベル…CDにしてくれて本当にありがとうとしか言えないです…みんな聞いて!

 

今どきこんな話題について書いてる私相当あれだけどそれぐらいチェッカーズは面白いバンドだってことで。しかもお二人がリードボーカルとった曲について何も触れないというグダグダっぷりに我ながら悲しくなってしまいましたがそれはアルバム毎の感想にぶち込む予定です…いつ書けるかなぁ笑

 

ていうかこの2人にこれだけ書いてたら他のメンバーに対する文量えぐそうだなーってって思いました!