私向けリクエストアワー

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藤井フミヤさんの十音楽団を見た感想

2019年も9月21日を過ぎて、新しい季節が始まろうとしている。

つい去年まで9月って特に何もないな…って思っていた自分がこの日を境にまた新しい年が始まるなぁぐらいの気持ちで921を終えたことに驚くのですが、このタイミングで2019年の夏の素敵な思い出を残しておこうと思う。ということで、藤井フミヤさんの十音楽団について個人的な感想を書こうと思います。

当ページはMCやセットリストを正確に記録するものではありませんのでご了承ください。あとちょっとうろ覚えなところもあるかも…

 

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35周年と2019年のライブ

今回のツアー十音楽団はフミヤさんのデビュー35周年アニバーサリーイヤーを記念して行われたものでした。昨年(2018年)は35years of loveと題されたツアーでチェッカーズ時代も含めてベスト盤のようなライブを行われていたと記憶していますが、今回はその流れも汲みつつ、新しさを追求したという非常に衝撃的なライブ。ツアー前・ツアー中のメディア出演では〈これまでにない〉といった言葉で語られておられましたが、本当にそうでした!だれも見たことが無い、そして藤井フミヤにしか実現できないステージでした。

 

ライブ本編の話の前にもう一度記しておくけど35周年ってすごいですね、というかすごいんだなぁと何度も実感した一年でした。長く愛される音楽はたくさんありますが、ライブ活動があって新譜があって、というサイクルを続けることは本当に大変なのだろうと思います。私も音源や映像だけでもいいのだけどできる事ならライブ観たかったなーって思うアーティストがたくさんいたりして…時々すごく切なくなる。そんな中わー現役だな程度でなくちょっと働きすぎなのでは…(ほめ言葉)と思える藤井フミヤ様には凄く救われたというか、リアルタイムで全盛期を経験している感が最高にしあわせでした!

 今回のツアー期間中にニューアルバム『フジイロック』がリリースされたこと、そしてアーティスト藤井フミヤとしての個展The Diversityが開催されたこと、とても面白かったです。

ニューアルバム『フジイロック』はダンサブルな曲もバラードな曲も収録されていて、藤井フミヤの永遠なる若さとエネルギーと多様性がよく現れた作品だったかな。彼の声と表現力はジャンルにも時代にも囚われない自由な翼。その稀有な才能を体験するべく自然とライブに行きたくなったわけですが、『フジイロック』のノリで十音楽団を見るとえっフミヤさんこんなに大人だったの…!?って驚いたり、あっ全然変わってないなって思ったりしたのもいい思い出。

私はいわゆるフミヤートを見たのが今回初だったのですが、それもまた面白かったです。フミヤさんのアートは写実的というよりは非常にエモーショナルなもので、感性にそって描かれた自由なものだという印象を受けました。何度も見たことあるファンの方はフミヤさんの芸術家としての新しさを楽しまれたのかな?私は何分初めてだったので藤井フミヤという人はひとのからだの、そしてこころのどの部分を見ているのか、それをどうアウトプットし表現されるのかということが、絵というメディアを通してじっくりと提示されたことがとても興味深かったです。

細かく言うとフミヤさんってたぶん指先まで見ている人なのだろうと思った笑 ああいう繊細な、どこに向いているでもないけど穏やかな手を描けるのは素敵です。きっと仕草であったりと言葉であったりの繊細な部分と、大枠の意志の両方を向き合って捉えられる方なのだろうと思います。だから、誰かを包む繊細な歌もみんなを楽しませる明るい歌も歌えるんだなって なんか感動しました。こういう見方が正しいかはわかりませんが(もっと芸術家としてちゃんと見るべきだったかもしれないなーとはちょっと思いました)。

アルバムや個展でフミヤさんの色々な一面を垣間見させてもらった気がします。それで、自然と生の音楽に還っていったというか、感想の終着点はうわーライブ行きたい!だったのは魔法的だなと思いました。何はともあれフミヤさんのこととても好きになった夏でした!

 

十音楽団の新しさ

前置きが長すぎる気もしますが、十音楽団に話を戻すと今回のライブの1番新しかった、そして衝撃的だったのは、1枚のアルバムに基づかないシアトリカルライブであった点、そしてそれを構成し演じきったのが生身の藤井フミヤさんだった点かなと思います。

あらかじめ物語を含んだコンセプトアルバムを作り、それをシアトリカルライブの形式で披露するというパターンは今までの音楽シーンでも見られたことでした。

しかし今回の十音楽団はアルバムを引っ提げてのツアーではなかった。

そういうアルバム出てないのに、どうやって物語つくるのだろうと思ってたけど、さすがはフミヤさん!

既存の曲を新しい表現で再構築し、かつ新曲も入れこんでくるという曲構成。35周年記念ツアーにふさわしいセットリストでもあり、2019年の藤井フミヤを本当に上手くプレゼンした構成でした!

今回のセットリストに組み込まれた楽曲の発表年は1980年代~2019年と、30年近い幅があったにも関わらず、全ての曲がこの十音楽団のために書かれたのでは…?と思ってしまうほど。

  35年分の曲からひとつの物語を作ることが出来たのは、フミヤさんが手がけた音楽の根本に一貫したテーマがあるからだと思います。

もちろん、アレンジ面でも、フミヤさんの歌唱力面でも大きな違い(進化)はあるわけですが、それらを超えて響くメッセージが一貫していて、本当に格好良かったというかなんだか圧倒されてしまった。

  アレンジの変化と魅せる藤井フミヤの表現力の進化がすごく分かりやすかったし、同時に詞のメッセージの変わらなさが対照的に浮かび上がっていたと感じました。

進化を見せることで、変わらなさをも提示するという境地にいるボーカリスト、とてもレアだと思う。凄い。

そして歌詞カード見ながらもう一度噛み締めたい気分になりました。この2ヶ月でまた課金しちゃったよね笑 みんなCD買ったりしてフミヤさんの歌詞研究しよ…

あと私の中ではシアトリカルライブ=地球外生命体等々の''設定''が付いているアーティストが自らの世界を補完して観客をそこにトリップさせるためのもの、というイメージだったので、(多分間違っている)

私にとってはステージにいるのが生身の藤井フミヤであったことはとても驚いたポイントでした。なんか特別ではあるのだけどフミヤさんのライブだなという謎の安心感がありました。

イメージの補完や全く別次元のファンタジーストーリーでなく、日常の延長を物語に変えられるアーティストって殆どいらっしゃらないと思うのですがどうなんだろう。フミヤさんってちゃんと人間だけどちょっと神聖なエッセンスが多く入っている方だなぁと思ってました…やっぱ歌の妖精さんかな

 

十音楽団のコンセプト ''自分の物語''

 音楽で物語を紡ぐというコンセプトのもと構成されたライブだったわけですが、今回の物語の特徴は、作り込まれているけど観客が入り込む空白が多かった点だったと思います…って書いてもなにも伝わらなさそうだけど笑

   ストーリーの構成・道筋ははっきりしていて、配布されたプログラムの通り、以下の5章立てでした。

第一章 命の物語

第二章 赤い糸の物語

第三章 初恋の物語

第四章 叶わぬ恋の物語

第五章 恋とリズムの物語

 

おそらく多くの人は出会いと恋と愛情の物語をご想像されたと思いますが、具体的な登場人物の名前や時代設定がないのはとても面白かった。

名前やら背景やらの設定は決めていた方が、つくり手としては作りやすいかと思います。しかしそこをあえて''開かれた物語''にして、観る人を入れ込み、それを立派な音楽体験に昇華させて成立させてしまうという技量。脚本・演出家としての藤井フミヤ、素晴らしかったです。

 

公式パンフレットでは冒頭で以下のように綴られていました。

〈心の中に、絵巻物のような''自分の物語''を綴る時間。十音楽団は、そんなコンサートにしたい。〉

おそらくこの言葉が、十音楽団を最もよく表現した言葉でしょう。

 十音楽団も物語を紡ぐけれど、オーディエンス一人一人も''自分の物語''を紡いでいく。そのふたつが重なり合った時の喜びと感動こそがこのライブの醍醐味だったと思います。

こういう風に無理矢理文字にして処理すると難しそうだけれど、全然そうではなかったですね、さらっと物語に引き込まれて入っていく感覚、フミヤさんブラックホールじゃん…って思いました 。沼どころじゃなかったなぁ

 

設定が特になかった分、なんでもありというか、全てが正解だったと思う。間違ったことなんてひとつもなくて、あなたが感じた全てが本当の気持ちだし、それこそが十音楽団の物語なんだと言われている感覚でした。

見る人によっては、藤井フミヤとあなたの(あなただけの)物語だったろうし、あなたと大切な人の物語だったかもしれない。人によって随分と違う、非常にパーソナルな物語だったかと思います。そんな一人一人の感動が藤井フミヤ・十音楽団によって包まれ共有されたこと、本当に素晴らしかった 。特別な音楽体験を全て現実にするパワーがあったステージでした。

日常生活では様々なことを考えて生きていかなければいけない私たち、音楽を聴いて自分やらなんやらだけをじっくり考える機会なんて意外とないのかも。そういう意味でも、特別な時間でした。でも非日常だけど、ちゃんと日常に繋がっていて、十音楽団見たあとってなんか心が軽くなりました。

あと毎回お腹がすいた笑(多分関係ない)

 

開かれた物語だからこそ、皆さん色々な想いをお持ちで、それをtwitterをはじめとする各種SNSで垣間見るのがとても面白かったです。誰かのときめきを通じて自分の喜びをまた探す、言葉で十音楽団を追体験してそれをまた拡散していくという形態は現代にぴったりでしたね。

ここまで計算されて作られていたのかしら、そうだとしたらプロデューサー藤井フミヤ凄いですよね…天才かな…。

 

今回は劇場型コンサートということで、前半は心ゆくまで音と歌声を楽しむ時間。なおかつMC無しという演出で自然と「観る」に重きを置いたライブになるのかな?と思っていましたが、第5章で一緒に遊ぶシーンがあったことは本当に素敵でした!そっか、これが一緒に遊ぶということなのだなと改めて実感。特に5章ではリズムが本当に効果的に使われていて、ロックンロールのグルーヴもあったりして、めちゃくちゃ格好良かった!

最初に前半部分を見た時はとても芸術的でただただ圧倒されたのですが、後半距離が縮まっていく感じがすごく楽しかったです!

 

十音楽団のメンバーに拍手を

今回のライブの忘れられないポイントが楽曲アレンジと、楽団の方々!アレンジは有賀さんがご中心になって手掛けておられるようですがとてもとても素晴らしかったです!

有賀さんといえば、TM NETWORKSelf Control (超名盤)でのベースプレイがとても好きだったので生でベースを聴けるだけでもとても嬉しいのにアレンジが非常に良かったので(良すぎたので)、今後好きなアレンジャーは?と聞かれたら食い気味で有賀啓雄様!ということに決めました。多分聞かれないと思うけど笑

20年以上前の曲なんて、その曲を20年以上聞いてきたファンの人達がいるわけで、そういう人たちを納得させつつ十音楽団という新しい取り組みに沿うアレンジにしなければならないという中々難しい挑戦だったはず。オーケストラライブを経たフミヤさんの伸びやかな表現力はもちろんのこと、この人はロックンロールからご誕生なさった方だったわ…ってポイント(どんなポイントだ)がバッチリ抑えられていて、最高でした。

滑らかなピアノ・弦楽器とパーカス・ギター・ベースが細かいリズム(グルーヴ?)の組み合わせの良さ、のれるし聴ける音楽でした。

そしてお一方お一方に見せ場があって、誰が欠けてもいけない楽団なのだなと思わずにはいられなかったです。素敵な音と演奏をありがとう。

 

短いけど特に好きだったところ書いとく…

☆岸田さん(keyboard)

     初恋の限りなくプレーンな感じが本当にOOPS!だった…とても好きです

☆かわ島さん(saxophone, flute)

    音がドラマティック!強弱がすごくはっきりしていて感情を上手く載せてる感じ素晴らしかったです。Slowly印象的でした。聴かせるサックス。

☆田口さん(guitar)

  風の時代と青春の道のギター本当に格好良かった…

☆藤井さん(percussion)

     ドラム入れないって話聞いた時まじか、と思ったんですけど笑、藤井さんのパーカス超カッコよかった! 細かい&力強いドラムとはまた違った柔和で艶やかなパーカス、十音楽団の中心だったと思います。コーラスも凄く素敵爽やかなお声 あとコンガ(たぶん)の色が緑で可愛かった!

☆吉田さん(1st violin)

     エナジェティックな音が印象的でした。きりりとしたサウンドだなという印象で輝いた音でかっこよかったです。

☆藤家さん(violin)

   すごくマイルドな優しい音でした、フミヤさんの伸びやかな声にとても良く合う。

☆清田さん(viola)☆林田さん(cello)

  僕が君を想う夜のアウトロ、ありがとう…!って感じだった有賀さんのベースとすごくい組み合わせだった!あとtrue loveの2番のAメロとても綺麗だったな

☆有賀さん(bass)

有賀さんのベースって弦楽器との相性がすこぶる良くてとても驚きました。セルコンの時はエレクトリックな正確さでまた良いのですけど、どの場面でもその曲の枠組みを作ってくださる感じ。本当に素敵でした! 

今回は指揮の方がいらっしゃらなくて(有賀さんが指揮していらっしゃる場面もありましたが)、とても難しかったかと思います。フミヤさんの独特のグルーヴが指揮でもあったのかな。

本当に素晴らしい音だったのでぜひ音源化して欲しいですー!

私がソ〇ーとかの人間だったら即ライブCDリリース(Blu-specで)するのだけどな

あっハイレゾ音源配信でもいいや…こういう要望どこにいえば良いのかな?FFM様…

 

藤井フミヤのライブ、やっぱり照明がよい

音に加えてとても印象的だったのが照明!今回の十音楽団の世界観を本当に良く表現していたと感じました。

武道館カウントダウンライブでも照明は本当に素晴らしかったですし、どのライブでも照明はこだわって作っていらっしゃるんだと思います。ただ今回のライブは、客席も照らすライトを使用して''武道館全体を舞台に変える''CDLのライトとは違って、ステージだけに絞って''十音楽団の物語を作る''ライトだったかなあという感じ。

  第1章の1曲目BIRTHなんかは深い青を基調としたライトで宇宙や聖なる超越した何かの中もしくはそれと対峙して自己を探究していく雰囲気でした。後の(3曲目)の命の名前では暖色系のライト、オレンジが使われていて、知っていく喜びといのちの温度がよく表現されていたかなという印象的でした。ライトだけでも物語があって、さらにそこに藤井フミヤのボーカルが乗っていて…非常に贅沢な2時間半でした!

 

以前も藤井フミヤのライブ床すごいからみんな床見て!!!!!と書きましたが(文章だけ見るとひどい)、本当に床のライティングだけでもチケットの価値あると思いました!毎回床のライティング技術高すぎる…

1番印象的だったのは第2章の冒頭部分。〈ふたつの点が…〉というところ、床が暖色系のライトで(会場によって微妙に違うのかも?、私が観た時はショッキングピンクのライトでした)スクエア型に照らされていたのですが、そのスクエアが徐々に広がっていったんですよね。〈君〉と出会って〈僕〉の世界が広がっていくのが照明と床でも表現されていて、素晴らしかったです!細かいところですがそこまで作りこんでいたんだなととても感動しました。

 

それから後ろのスクリーンも。フミヤさんはラジオ等々で「今回はセットが超シンプル笑」と仰っていましたが、すこぶる良いセットでした…!

   なんとなく『2001年宇宙の旅』の''モノリス''を連想させる形の縦長スクリーン。合計10本(左側3本 中央4本 右側3本)の、分割スクリーンなの面白かった。見た目的に凄くスタイリッシュになっていたと思います。

各楽曲の歌詞に合わせてふさわしい動的な演出がなされていて見応えありました。

1番わー!って思ったのは最後の曲!それまで森・空・星などなどを映し出したスクリーンに、それら総合した(重ね合わせた)ものを映し出していて、物語は全て繋がっていたことがよく表現されていたと思う。

床とスクリーンを組み合わせることで奥行と立体感があるステージになっていて見ていて引き込まれました。

 

 藤井フミヤはとにかく今が旬!

藤井フミヤはボーカリストとして今が旬!なわけですけど(断言していくスタイル)、今が偶然的に良い時期だとかじゃなくて35年分の経験値と戦闘力の集大成としての旬ですね。

今回はセリフであったりパントマイムであったりと色んな表現を駆使されておりましたが、ライブ自体ほぼ音が途切れない構成であったとともにフミヤさんの表現も途切れていなかった、というか全てが繋がっていたのが感動的でした。視覚的にも凄く面白かったですね。この表現も含めて演奏だったし十音楽団だったと思います。

というかパントマイムがとても上手くて、もー本当にあなた上手いんだからプロのパントマイマーになりなよ…って0.5秒ぐらい思った…笑 いややっぱいつまでもボーカリストでいてね…

でもそれがゴールじゃなくて、全部ボーカルに帰って来るんですよね、バレエっぽい伸びやかな動きも、必ず音に変わるんです。サウンドの素晴らしさと藤井フミヤの指先、髪の先までの表現が全て感情を持った声に収斂していく様は美しかったです。

 

全編を通して思ったのは藤井フミヤの声は、心を撫でる声だということ。

たくさんの人が、彼の声を聞いて色々なことを思ったはず。かっこいいとか恋するような憧れの気持ちはもちろん、美しさとかは包み込む愛情とか本当に色々。

私は特に感受性豊かではありませんが、2時間半ずっと色々なことを感じて考えて、感情的に忙しかった笑 終わってみてなんとなく心を優しく撫でられた感じだったなって思います。

お上手…って感動はもちろんあるのだけど、それよりもっと、面倒くさい思考の枠組みを取り払って、素直に感じることへ導いてくれる感じでした。こういう状態が本当の''自由''なのだろうなってちょっと思いました。すごく楽しかったです!

 

あとCDLの時もそうだったけど、ステージの上だけ重力小さいよね?ぜろぐらびてぃ…??ってずっと考えてたな笑

 

全曲感想書くとさすがにうざったくなりそうなので笑、何曲かに絞って残しておく。

☆風の時代

サビで全ての楽器が入ってくるアレンジとボーカルの強さが絡み合う感じが聞いていてとても引き込まれました。照明もとても素敵だったな。

一曲目のBIRTHが自分を得る物語で、次のこの曲が僕も君も歩みはじめるストーリーであったことが十音楽団の物語の芯の強さを象徴している印象でした。かっこいい曲。

 

☆下北以上原宿未満

アコギの音がとても綺麗。この曲めっちゃ可愛いよね。フミヤさん楽しそうでとても可愛らしかったです。

歌詞の中に出てくること、本当に些細な出来事なのだけど恋をしたらそれが凄く大きなことに見える感じが良いですよね。true loveとかもそうだけど小さい動作をどれぐらいロマンティックな色を塗って歌えるかに関しては藤井フミヤの右に出る人はいないと思う。

☆INSIDE

この曲の〈いつまでも君はそばにいるよ〉というフレーズが中々衝撃でした。普通、''僕は''君の傍にいるよとかいたいよってかきがちだと思いますが、そこが〈君はそばにいるよ〉なのがフミヤさんのリリックの凄さだと思います。いつまでも傍にいる君の存在がどれだけ大切で暖かいか言葉にしなくてもわかる感じ。この曲を歌う時のフミヤさんの伸びやかな声がとても印象的でした。一言一言を大事に歌う感じがたまらなく好きでした。

☆鳥になった少年の唄

最初にイントロ流れた瞬間この曲どっかで聞いたことあるな、、って思ってあっ鳥になった少年の唄じゃないですか…って認識した瞬間鳥肌でした。アレンジが控えめに言って神様からのプレゼント…十音楽団は神の使者だったのですね…って放心状態だった。

フミヤさんってやっぱりすごい大人の方だなーって当たり前だけど思うのですが、この曲の時は少年でしたね…こんなに荒削りな表現に一瞬にしてなれるのかと驚きました。大人のやさしさを経て少年に一瞬で還ってゆく声と指先の美しさ、一生語り継いでいきたい。

リリースから30年近くたってこの曲の完成型を見た気持ちです。私のファン歴的に何言ってんだってとこはあるけど…(すみません)

 

 ☆夜明けのブレス

  チェッカーズ時代から歌われ続けている名曲。フェス等フミヤさんの単独ライブ以外でもたくさん歌われていて、''みんながよく知る藤井フミヤ''を象徴する曲とも言えるかも。そんな比較的メジャーな楽曲が、十音楽団が紡いだ物語の最後を飾る曲としてまた新たに位置づけられたのは本当に見事だと思いました。

  無限なる世界から生まれた〈いのち〉の探求から始まり、〈君〉と恋をして、楽しいこともそうでない事も、多分なんだかんだあって、最終的に行き着くのが〈君のことを守りたい〉という境地であるのがなんとも藤井フミヤらしかった。

すごく個人的な話ですが、高校の卒業を控えたある日、倫理の先生から「隣人を愛しなさい。そして人を守りたいとか、助けたいと思うならばあなたも強くならなきゃいけないよ」みたいなことを言われたのを覚えています。当時はなんで?と思ってたけど今はなんとなくわかる(気がする)。

愛するってすごく大変ですよね。色々あるし笑。〈守りたい〉なんてもっともっと難しい。〈守る〉ためには自分を抜け出して、本当に愛する相手のために自分が''与える''存在にならなければならない。

自分を抜け出して相手の事を心底大切に想う強いあたたかさを持っていなければ、意味のある〈守りたい〉は発せないだろうと思います。

  だから、「夜明けのブレス」を初めてちゃんと聞いた時、そしてそれが1990年に発表された楽曲であったと知ったとき、藤井フミヤの持つ凛とした強さにとても驚きました。1990年、27~28歳ぐらいでこういう境地に至ったのはなんというか、ただただ驚きだった。彼の紡ぐ言葉の根本は「愛」なんだろうと思いますし、至ったというよりはこの人はその強さを最初から知っていたんだぐらいの説得力があると感じます。

 今回の十音楽団では、(私が聞いた限りでは)割とシンプルな、そして藤井フミヤの声が最も届くアレンジだった。

なにこれめっちゃ泣けるやば~~って思った(急に雑な感想)

藤井フミヤのボーカルと表現のある種の到達点なのかもしれない、と思えるぐらい素晴らしかったです。

そして、いいライブだった、終わるのが惜しいと思うと同時に、今日から色んな事をーひとのこともー愛していこうってちょっと思った。できるかどうか自信はないけど笑、背中を押された気分でした、ありがとう!

あと途中のワンコーラスをマイク無しで生の声で歌うという演出…

複数の会場で観させて頂きましたが、どの座席でも1音1音とてもはっきりと聞こえました。しかも声をすごく張っている音ではなくて、非常にナチュラルなニュアンスを持った音でした。さすがにうますぎなのでは……??

2時間半のライブのラストで、まさかこんなことがあるなんて…って半ば放心状態で見ておりました。

声量とか通りやすい声質とか技術的にも非常に素晴らしいので書き出したら終わらないのですが…何より生の、それこそ生きた''ブレス''として聴けたの、おそらく私の音楽体験として最も極上なワンシーンだったと思う。一生忘れないよ!

 

 

案の定長くなってしまいましたが、本当に素晴らしいライブでした。この感動を超えるライブにはもう行けないかもしれない…と思う反面、超えるライブがあるとしたらそれは間違いなくまた藤井フミヤさんの、新しいライブだろうと確信しています。

これを書いているのは2019年の9月22日なわけですけど、36年目の藤井フミヤさんがどんな新たな世界を見せて下さるのだろうと今からとても楽しみです。とりあえず秋のツアーKOOL HEAT BEATを楽しみに待ちつつ、36年目も素敵な音楽の旅を。

www.fumiyafujii.net

 

あ、十音楽団の音源or映像いつまでもおまちしてますね…!

 

 

 

 


最後に、これは完全に個人的な話なのだけれども、残しておきたいので記録しておきます。(''私向け''リクエストアワーだからね)

 

昨年10月、たまたま藤井フミヤのライブに行くチャンスが巡ってきた。

あの時のチケット、自分で取ってなくって、親が帰省のついでにどう?って取ってくれたもの。行こうかなって言ったのは私だったけど、本気で行くって思ってたわけではなかった。せっかく親にチケット取ってもらったし…ってちょっと仕方なく足を運んだ気がする。

当然予習はしていなくて、2時間置いてけぼりかなーって何となく思っていた。

だけど、一瞬で声に、音に、ステージに掴まれた。曲はそんなに知らないのに、ずっとあの音を、あの声を聞いていたいと心底思った。

そして今回の十音楽団。ずっと前から楽しみにしてた。あんまり期待しすぎるのは良くないって私も色々な場面で学んで来たけれど、そんな教訓は藤井フミヤの前ではどうでも良かった。

私は十分すぎるほどに期待させて貰ったし、その期待はあっさりと越えられた。本当に素晴らしい、ただただ素晴らしいステージでした。

''今までにないライブ''形式で、おそらくたくさんの試行錯誤があったのだと思う。そうやって練られた完成度、本当に圧倒的だった。私は結構冷めてるほうだと思うけれど、そんな私でも本当に様々なことを感じ、想ったライブだった。優しさ、愛情、美しさ、気品、色気、言葉に閉じ込められないものも。その全てが私の目に映る藤井フミヤだった。私が今までの人生で全く気がつかなかった感覚を沢山みせてくださいました。本当に面白かった。十音楽団行けて良かったなってきっとこれからも何度も思い出すと思う。

 

そしてフミヤさんの音楽と出会ってから、初めて自分の思ったことを書き残しておきたいと思った。

ほとんど独り言なんだけど、それでも本当にありがたいことに読んでくださる方もいて!感想を発信してくださる方もいて!音楽って誰かと繋がる手段にもなるんだって初めて知った。読んで下さった方、ありがとうございました。

音楽は1人で聴くのもすごく楽しい、皆で聴くのはもっと楽しい。単純なことかもしれないけど、私は初めて知りました。人生がまたひとつ豊かになった気がしている。

音楽が誰かの人生を豊かにするってどのアーティストやどの楽曲にも有り得るわけで、私の場合、そのきっかけがたまたま藤井フミヤだっただけなのかもしれない。

でも、それなりの数のアーティストを聞いてきたと思うけど、こんなに何かを感じてそれを言葉にしたいって思ったアーティストは藤井フミヤだけだった。たくさんいるアーティストの中で、たった1人彼だけだった。藤井フミヤに出会わなかったらこんな喜び一生味わえなかっただろうと強く思います。

 

だから、たまたまじゃなくて、きっとフミヤさんがくれたプレゼントだと思っておくね。 ありがとう。

 

またライブ行きます、

一緒に遊ぼーね!