F-BLOODの新作の話『Positive』のこと
え、もう8月が終わろうとしている…?2020年も上半期どころか3分の2が終わりかけていることに驚いてしまいましたが、本当に今更ながら、F-BLOODの最新作『Positive』の感想を残しておきたいと思います。
サブスクもCDも
このアルバムは2020年4月8日発売でした。もう4か月以上経っているのですね…自分のスピード感のなさに泣けてくるわ…という話は置いておいて、今作のうち3曲(ポジティブR&R,さりげない唄、最後の晩餐)がSpotifyやApple musicをはじめとする主要サブスクでは3月4日に解禁されていましたね。CD発売の1か月以上前に出してくださるなんて!これけっこうびっくりした。昔でいうところのアルバムから先行して出すシングル曲のような感覚だったのかな?フミヤさんソロもそうですが、レコード会社が変わっても全部のアルバムがサブスクにあるのってすごくありがたい、しきっとこれからハマる人たちとのプラットフォームってサブスクが多くなるんだろうなぁ。サブスクにあるとやっぱり人にお勧めしやすいですよねー。私も3月からちょこちょこサブスクで聞いておりましたが、これはアルバムに入った時にどんな感じになるのかな、と期待に胸を膨らませておりました。
私はサブスクで気になった曲はCDも手にしてしまう派なのですが、2020年にCDを買う意味やメリットってどこなんだろう?と考えたりもします。そんなの実態あるものを手に取れる自己満足に終着するといえばそこまでなのだけど、やっぱりアートワークとクレジット表記がきちんと見れることは捨てがたい。ブックレットのたいてい最後にある参加ミュージシャンリスト見たときの私ちゃんとCD買った感はサブスク使うようになってからぐんと増しました(個人的に)。
今回の『Positive』Art Direction&DesignはIWATA ROOMさん。モノトーンでスタイリッシュにまとめられてすごく素敵でした。ジャケットのお写真もそうだけど、お二人のお召し物(黒スーツ)とかすごくシンプルなのに上質な質感が伝わる着こなし(やっぱ藤井兄弟は華があるぜ!)にブックレットのデザインが良くマッチしていて好きです!
IWATA ROOMさんは90年代からF-BLOODのデザインを手がけられているようで、フミヤさんソロや尚之さんソロと通じるとこもありながら、時代にあった藤井兄弟のクールな部分をプッシュされるアートワークを作られている印象。
公式HP(http://www.7stars.jp/index.html)内のリンク先で歴代作品のアーカイブ
が公開されているのですが、けっこうハードでクール(語彙力…泣)なデザインを作っておられるんですねー。Mötley CrüeとかGNRが出てくる中に現れる藤井フミヤ/F-BLOOD、インパクト大で興味深かったです。こういうページ見るの大好き。
藤井兄弟の声質を楽しむということ
さてさて今回のアルバム、実は私にとっては初めて聞くF-BLOODだったのですが笑、初めて聞いたときの感想はおー結構音低めなんだなー!でした(語彙力…泣)特に藤井フミヤさんに関しては2019年リリースの最新作『フジイロック』が非常にフレッシュな音とボーカルだったのでその対比に驚いておりました。たぶん、音域的にはほぼ変わらないのですけど、(ちゃんとし検証したわけではないのですみません、)アレンジと楽器の感じ・雰囲気が多少違うからそう思ったのかな―。あと歌い方ちょい変えてる?ってちらっと思ったけどどうなんだろう。ともかくフミヤさんファンとしては、これは『フジイロック』も再度聞き直す必要があるわ!と思ったりしました。フジイロックに関してはリリース当時、あまりの若さ(これ、初々しさとも違う、色気があるのに手垢に全く塗れていない”若さ”)にほんとイヤ絶対あなた20代でしょ?知ってるよ私は…って思った記憶があるのですが笑、すごい作品なんですよね。なんというか<藤井フミヤ(29)(CV:藤井フミヤ(57))>みたいな感じ。CVとか伝わるのかわかんないけど笑、いい意味ですごくキャラクターチックだったような。話がそれてしまいましたが、今回のF-BLOODはなんとなくより等身大な感じでそれも良い!
そういえば今年シンフォニックライブ見たときにその低音の響きっぷりにすごく感動したのも記憶に新しい。今回のアルバムは結構低音の響きが聞けてこれはすぐにでもライブに行くべき…ってなりました。
ほーらすぐフミヤさまのこと書き連ねてしまう、、のですが、尚ちゃん!F-BLOODは尚ちゃんの声がすっごいいいんですよぉ…ということを再認識致しました。私の中での尚之さんって比較的クールなイメージ(これもちょっとフミヤさんとは違うクールさなんですけど!)だったので今回でいろんな一面を見れてより好きになりました。(まだまだ初心者ファンなので勉強中ですが…)歌い方、兄弟で似てるとこもあるけど(アクセントのつけ方結構似ているような印象を受けます)声質が絶妙に違っていて面白い。F-BLOODってお二人ともリードボーカル取れるとこほんと強いしアルバムでも曲ごとで景色が変わっていってエンタメ性高いよなぁ。
私がいろいろ書くより一度聞いていただくほうが4億倍速いと思うのでぜひ聞いて、藤井兄弟の声質の豪華さに感動してください…!
一曲ごとの感想とか書いてみたりしとく笑これで私もCDれびゅあーになれるね!
01君をさがしに
これは朝の番組のタイアップ付きだったので耳にされた方も多いのかも?F-BLOODの今回のアルバムはこの番組からの依頼がきっかけにもなったとオリコンのインタビューでも語られていました。土曜の朝って感じがするよね。テーマは<人生は君を探す旅>とのこと。ちゃんと旅番組っぽさも土曜ぽさもあるし、独立したポップスとしても聞ける。藤井兄弟、タイアップにお強い!そして冒頭から尚ちゃんの幸福感あふれるサックスから始まるの、自然とポジティブになれます。サックスってギターのように細かいリフとは少し違う使い方ができるんだなぁってチェッカーズを聞いても思うのですが(ていうか私はサックスが常に入っているアーティストをあまり聞かずに来てしまったのでサックスの面白さを教えてもらったのはチェッカーズであり、尚之さんでした!今更ながらありがとう)、今回のアルバムは比較的シンプルな生バンド的な音構成ゆえにサックスがすごく印象に残りますね。<遠くへどこまでも>のところの声の重なり具合がさっそくクライマックスで素敵。
こういうの聞くとじゃあシニカルな作品のタイアップとかついたらどんな音作ってくれるんだろ??ってちょっと思ったりするけど(そういうのちょっと聞きたいんですよね…!みんな藤井兄弟にいろいろ外注してくれないかな…)
02 君は太陽
日曜日に聞きたい曲。詞は韻を踏んでいて面白い。聴き所はBメローサビの声の重なり方だよね!藤井フミヤの上ハモ好きな人は絶対好きなやつです。こういう重なり方、たぶんF-BLOODの得意技。
03遠い昔の話
初めて聞いたときは、さすがに私の年齢でこういう内容が染みるのはちょっとはやいというか、想像上の感動で満足するのはもったいない気がして遠ざけていたのだけど、ブックレットの歌詞をみたらいろんな世界が広がって面白かった。詞の内容はタイトル通り過去を振り返るもの。だけど時間や年代を想起させるワード(学生時代、とかそういう、時間を限定するようなことば)が全然ないのがすごい。強いて言うなら<手作りのビーズの指輪>はそれに類するかもしれないけど、ビーズっていうのがなんとも。すごく幼少期の思い出かもしれないし、大人になって軽い冗談と愛の形で贈ったものかもしれないし、って考えだすとどこまでも広がっていく。そしてすべての人に寄り添う曲でもある。面白い歌詞でした。
そういえば、ビーズの指輪ってチェッカーズのふれてごらんでも出てくる言葉ですけど、何か特別な意味でもあるのかしら。こっちも作曲尚之さんですね。そういうとこも考えるとまた面白いものが見えるかも。
04全速力
この曲、すぐにポカ〇スエットのCMで使えるじゃん!って思いました。夏の日に入道雲背に聞きたい曲。でも歌詞がすごく大人で、そういうとこが今のF-BLOODの面白さ。サビだけとるとほんと10代じゃんよーってなりながらも、もっと大人になった人にも通じることばたちが素敵です。Aメロは尚之さん、Bメロからはフミヤさんがリードになるという歌いわけもたのしい。ほんとフミヤさんの声ってすごく抜けがよいというか、風のように気持ちよく吹き抜ける高音をアクセントとともに出せるのがすごく好き。尚ちゃんの声ってすごくマイルドでコーラスのうまさは言わずもがなだけどAメロにあると自然と耳が持っていかれるのですごく魅力的。
05 ファイト!
みんな頑張ろうね、まじめに笑 いやほんと冗談じゃなく、応援される機会って大人になればなるほど減る気がするけどそういうとこ音楽で補うのって大事ですよね、私も今年から社会人になったのですごくしみました笑 個人的には、あんまりストレートなポップスを聞いてこなかったのでこういう曲になじみがなかったのですが、意外とさらっと聞けた。押しつけがましくなく、じゃあやるわ…!ってなる感じ。隣で一緒にやってくれるような歌詞が、尚ちゃんがリードボーカルゆえに生きてる気がします。
06 最後の晩餐
これは完全にやられたなー!って思った曲。この曲を先行公開したの本当に最高に市場をわかっておられる…!こういうシチュエーションを歌わせたら藤井フミヤに勝るボーカリストなどいない。本当に素晴らしい!曲調やジャンルでカテゴライズできるアーティストは多くいらっしゃると思いますが詞の内容のシチュエーションでカテゴライズできるボーカリストってあんまりいないのでは。というか、私は藤井フミヤさんしか浮かばない。とにかくフミヤさんの表現力の高さにしびれる4分41秒です。全員聞くべし。この曲はホールでのライブでも聞きたい!尚ちゃんのサックスのいいとこが全部出てるわ…!って間奏を経てのラスサビでコーラスと重なるとこはこのアルバムで一番の聴きごたえポイント。最高。
07 二十六の朧月夜
<サヨナラはカタカナだった そのその後は文字が無く 二つ折り メモの残り香 曖昧な文> 冒頭の歌詞だけであーこういうのほんと上手いですよね…ってなりました。キャッチコピー的なのはほんと上手いわ。歌いだしからギターのアルペジオっぽいやつの上に響く藤井フミヤ様の低音!すごく良いです。生で聞いて絶賛文を書き散らかしたい。鍵盤系と管楽器が徐々に重なるアレンジも好き。大人の恋ってこういう感じなのかな?
08 One by One
Aメロとかすっご若いな…!って驚いた曲。この曲もタイアップ候補だったそうで朝の匂いがする。フミヤさんのファルセットの出し方いつも丁寧で好き!一音一音が朗らかでかわいい曲。こういう曲はたぶんライブで楽しいやつ。
09 さりげない唄
すごくシンプルな歌ですけど、(さりげないともいう)こういう曲とか歌詞って本当にうまい人しか作れないような。照れとか甘酸っぱさを経験して凌駕した先にある表現力。間奏のシンセの音がめちゃくちゃいい。
10 ポジティブR&R
アルバムを象徴するような一曲。最後にこうまとめるかー!ってなるぐらいわかりやすいポジティブです。ボーカルも結構ライブ感あって素敵!今回のアルバム、ほんとそのまま生で演るのをすんなりイメージできるつくりになってますね。バラード的なのも入れつつ、R&Rで閉めるとこがF-BLOOD!
というわけで、全編を通してライブに結びつくような内容でした!わーライブ行きたい。残念ながら予定されていたツアーは、コロナウイルスの影響で全公演中止になってしまいましたが、なんと50分越えのリモート(!)ライブが公開されています。これすごく太っ腹。
F - B L O O D 「R e m o t e L I V E 2 0 2 0 」
これ、無料公開で大丈夫…?ってなるぐらい普通にがっつりライブでびっくりした。音質もすごく良い!
なかなか音楽業界には難しい状況が長期間続いており、寂しい日々ではありますが、こうしてあたらしい音楽の形が配信されていくことが大きな希望になっています。本当にありがとう!
フミヤさんのYou Tube、ファン層のニーズも満たしつつ、最近ファンになったひとにもいろいろな面をみせてくださるという非常にうまい使い方がなされていてついつい見ちゃうなぁ。
私も追えてない部分もたくさんあるのですけど、こんな状況の中コンスタントに活動してくださることがすごくうれしい!また見に行けるようになるのを楽しみにしつつ、今だからこそアルバム作品をじっくり聴いていきたいと思う今日この頃です。
追記:今回参照したインタビュー
オリコンさんのインタビューは全曲ミニ解説もあるのでおすすめ!